CARS Report

Aston Martin DB6

2011.08.25

あれ? また同じクルマ……? と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが

前回のこのページで紹介したのとは、別のモデルのアストン・マーティンです。

ということで、今日はプラネックスカーズのショールームに展示中のもう1台のお宝をご紹介します。

 



このクルマは、1967年式のアストン・マーティンDB6。

その名の通り、DB5の後継車として1965年にデビューしたモデル。

一見、DB5と同じデザインに見えるかもしれませんが、リアからみるとファストバック風となった

ルーフラインがDB5と異なるのがわかります。

 

さらによーく見ると、前後のバンパーが左右分割となっていたり、テールがスパっと切り取られた

コーダトロンカ・スタイルになっていたりと、モダンなデザインに生まれ変わっているのが分かると思います。

 

その最大の特徴は、DB4やDB5で採用されていたスーパーレッジェーラ工法を止め

普通のプレスメタルを用いたボディの構造に変更したこと。

 

そのお陰で生産性が向上したうえ、室内容量も大きくなり、さらに前後重量配分も改善され

DB5よりもバランスのいいクルマに仕上がったのでした。

また、車輛重量自体はDB6の方が1498kgと、40kg以上DB5よりも重いのですが、

ボディ単体で比較すると、その差はわずか8kg程度の差だと言います。

 

ちなみにDB6は、1967年にタイヤ幅を拡大し、オプションでフューエルインジェクションを

セレクトできるなどの改良を施したMk2(シャシーNo.4101/R以降)に発展しますが、

この個体はリアフェンダーがナローなMk1です。

 

コックピットの眺めは基本的にDB5と同じ。

ラジオは近代のモノに交換されているものの、それ以外はオリジナル。

……というか、なんとノンレストアの車輛だとのことです。

 

それで内外ともにこんなコンディションを保っているなんて! 奇跡。

 

また右ハンドルM/T車でクランクしたシフトレバーが採用されたのは、

ものの本によると、このシャシーナンバー3552/R 以降からだそうで

そういう意味においても貴重な1台といえると思います。

 

写真が悪くて申し訳ありませんが、このようにブラックのレザーは破れやヒビもなく

素晴らしいコンディション(オリジナルのままですよ!)。

 

またDB6の特徴としては、ホイールベースが延長されたことにより

DB5に比べリアシートのレッグスペースが広くなり居住性は向上したことも挙げられます。

 

こうして見ると、ドアのトリムもDB5とは意匠が異なります。

左に見える黒い丸形のパーツは、DB6から採用された三角窓のオープナー。

 

先ほども書きましたが、スーパーレッジェーラ工法を止めたため、ルーフに梁がなくなり

非常にオーソドックスなスタイルとなりました。

もちろん、この内張りもオリジナルのまま。いかにこのクルマが大事にされてきたかが伺えます。

 

余談ながら、スーパーレッジェーラ工法を使用していないにも関わらず、

カロッツェリア・トゥーリングが倒産する1967年までに生産されたDB6のボンネットには

スッパーレッジェーラのエンブレムが残されています。

無論、1967年式のこのクルマにも残っています。

 

エンジンは3995ccの直列6気筒DOHCユニット。

280bhp/5500r.p.mなどのスペックも、組み合わされるZF製5段ギアボックスも、

基本的にDB5と変わりません。

 

最後にこれまた余談ですが、先日ウィリアム王子が結婚式のパレードでドライブしていた

アストン・マーティンは、このDB6のオープンバージョンである“ヴォランテ”でした。

ヴォランテとは、イタリア語で「飛行」という意味。

 

ウィリアム王子がドライブしたDB6ヴォランテは、父であるチャールズ皇太子所有のクルマ……

というのは、あちこちで報道されていましたが、なんとそのエンジンは環境問題を案じる皇太子の指示で

改造され、バイオエタノールとガソリンを混合したE85燃料に対応するようになっていたのだそうです。

 

なにはともあれ、ご成婚パレードの影響もあって人気が出ているというDB6。

永遠のマスターピースであるDB5とともに眺めるチャンスなど、滅多にあるものではありませんので

ぜひ、ショールームでご覧ください。

 

もちろん、2台とも日本で買うDB5 & DB6としてはトップレベルの個体です。

ご購入を……と言う方も、お気軽にご相談ください。