あれ? また同じクルマ……? と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが
前回のこのページで紹介したのとは、別のモデルのアストン・マーティンです。
ということで、今日はプラネックスカーズのショールームに展示中のもう1台のお宝をご紹介します。
このクルマは、1967年式のアストン・マーティンDB6。
その名の通り、DB5の後継車として1965年にデビューしたモデル。
一見、DB5と同じデザインに見えるかもしれませんが、リアからみるとファストバック風となった
ルーフラインがDB5と異なるのがわかります。
さらによーく見ると、前後のバンパーが左右分割となっていたり、テールがスパっと切り取られた
コーダトロンカ・スタイルになっていたりと、モダンなデザインに生まれ変わっているのが分かると思います。
その最大の特徴は、DB4やDB5で採用されていたスーパーレッジェーラ工法を止め
普通のプレスメタルを用いたボディの構造に変更したこと。
そのお陰で生産性が向上したうえ、室内容量も大きくなり、さらに前後重量配分も改善され
DB5よりもバランスのいいクルマに仕上がったのでした。
また、車輛重量自体はDB6の方が1498kgと、40kg以上DB5よりも重いのですが、
ボディ単体で比較すると、その差はわずか8kg程度の差だと言います。
ちなみにDB6は、1967年にタイヤ幅を拡大し、オプションでフューエルインジェクションを
セレクトできるなどの改良を施したMk2(シャシーNo.4101/R以降)に発展しますが、
この個体はリアフェンダーがナローなMk1です。
コックピットの眺めは基本的にDB5と同じ。
ラジオは近代のモノに交換されているものの、それ以外はオリジナル。
……というか、なんとノンレストアの車輛だとのことです。
それで内外ともにこんなコンディションを保っているなんて! 奇跡。
また右ハンドルM/T車でクランクしたシフトレバーが採用されたのは、
ものの本によると、このシャシーナンバー3552/R 以降からだそうで
そういう意味においても貴重な1台といえると思います。
写真が悪くて申し訳ありませんが、このようにブラックのレザーは破れやヒビもなく
素晴らしいコンディション(オリジナルのままですよ!)。
またDB6の特徴としては、ホイールベースが延長されたことにより
DB5に比べリアシートのレッグスペースが広くなり居住性は向上したことも挙げられます。
こうして見ると、ドアのトリムもDB5とは意匠が異なります。
左に見える黒い丸形のパーツは、DB6から採用された三角窓のオープナー。
先ほども書きましたが、スーパーレッジェーラ工法を止めたため、ルーフに梁がなくなり
非常にオーソドックスなスタイルとなりました。
もちろん、この内張りもオリジナルのまま。いかにこのクルマが大事にされてきたかが伺えます。
余談ながら、スーパーレッジェーラ工法を使用していないにも関わらず、
カロッツェリア・トゥーリングが倒産する1967年までに生産されたDB6のボンネットには
スッパーレッジェーラのエンブレムが残されています。
無論、1967年式のこのクルマにも残っています。
エンジンは3995ccの直列6気筒DOHCユニット。
280bhp/5500r.p.mなどのスペックも、組み合わされるZF製5段ギアボックスも、
基本的にDB5と変わりません。
最後にこれまた余談ですが、先日ウィリアム王子が結婚式のパレードでドライブしていた
アストン・マーティンは、このDB6のオープンバージョンである“ヴォランテ”でした。
ヴォランテとは、イタリア語で「飛行」という意味。
ウィリアム王子がドライブしたDB6ヴォランテは、父であるチャールズ皇太子所有のクルマ……
というのは、あちこちで報道されていましたが、なんとそのエンジンは環境問題を案じる皇太子の指示で
改造され、バイオエタノールとガソリンを混合したE85燃料に対応するようになっていたのだそうです。
なにはともあれ、ご成婚パレードの影響もあって人気が出ているというDB6。
永遠のマスターピースであるDB5とともに眺めるチャンスなど、滅多にあるものではありませんので
ぜひ、ショールームでご覧ください。
もちろん、2台とも日本で買うDB5 & DB6としてはトップレベルの個体です。
ご購入を……と言う方も、お気軽にご相談ください。