このクルマをご存知ですか?
1989年のフランクフルト・ショーで発表されたポルシェ・パナメリカーナ・コンセプトです。
このクルマ、最近プラネックスカーズに入庫したタイプ993(程度最高!)の
ルーツともいえる1台なんですよ。
パナメリカーナ・コンセプトは、964カレラ4をベースに作られたスタディモデルで
そもそもはフェリー・ポルシェ博士の80歳の誕生日を記念して製作、贈られたもの。
(ポルシェは創設以来、ボスの誕生日に特別仕様のクルマをプレゼントする風習があります)
当時このクルマをデザインしたのは、のちに968やボクスター・コンセプト、
996、幻の4ドア989などをデザインしたオランダ人デザイナー、ハルム・ラガーイ。
1990年代にV字回復を果たすポルシェのデザイン部門改革を担った
ポルシェ中興の祖ともいえる存在です。
しかし次期911の姿を模索する、このパナメリカーナ・コンセプトは
フェリー博士のお気には召さなかったようで、すぐにミュージアムに仕舞われてしまったという
エピソードが残っているそうですが……。
しかしながら、改めて見るとこのパナメリカーナ・コンセプトには様々な新機軸が
打ち出さされているのがわかります。
このキャンバストップのルーフもそうですが、
ボディにはサンドイッチ構造のプラスティック、カーボンファイバー、
グラスファイバーといった素材も使われているのです。
この辺りの攻めの姿勢が、今の勢いに繋がっているのかもしれませんね。
その一方で、特注のグッドイヤー製タイヤには、こんな遊び心もあったりして。
まぁ、ここで試されたデザイン手法が、のちの993や996に反映されたのは間違いのないところ。
そういう意味でも、貴重な歴史遺産といえますね。
あ、993に影響を与えたと言えば、このモデルも忘れるわけにはいきません。
1983年にポルシェの放ったグループBモンスター、959。
折しもバブルを迎えようとしていた日本では、F40とともにもてはやされましたねぇ。
Cカー譲りの水冷ヘッドをもつ2850ccツインターボ、6段ギアボックス、電子制御AWDなど
当時としては最新のテクノロジーを駆使したスーパーマシーンでありました。
でも今見ると、すでにクラシックですね。
あの頃は、リアまわりの処理に未来を感じたものですよね。