2018.05.28

2年に一度、F1モナコ・グランプリとまったく同じコースを使用して行われる究極のヒストリックカー・レース“モナコ・ヒストリック・グランプリ”。今回もPLANEX CARSの久保田克昭は、2014年のウィナーとして愛機ロータス72とともにセリエEにエントリーしてまいりました。

1966年から72年までの3リッターF1を対象としたセリエEには26台がエントリー。久保田の他には、前回のレースで圧倒的な速さを誇ったスチュアート・ホールのマクラーレンM19Aを筆頭に、このクラスで常勝を誇ったダンカン・デイトンのブラバムBT33、元F1ドライバーのパオロ・バリラのフェラーリ312B、“ヒストリック・モナコ・マイスター”マイケル・ライオンのサーティースTS9など強豪ぞろい。さらに今回は日本のSUPER GTでも活躍した現役ドライバーのビョルン・ウィルドハイム(国際F3000やジャガーF1テストドライバーとしてもモナコを経験済み)も参戦。またCTLからはクリス・マックアリスターがロータス49を、レッドブルF1のエイドリアン・ニューイがCTLでレストアしたロータス49Bを持ち込むなど、いつも以上にレベルの高い戦いとなりました。

よって金曜のプラクティスからタイム争いは白熱。36秒台で刻々とタイムが更新されるなか、久保田が1分35秒963を記録してトップに立ちます。ところがフロントのインボードブレーキが過熱するという、72固有のトラブルが出てしまった久保田は1コーナーでコースアウトしてしまいます。一方コース上ではホールが他を2秒以上引き離す1分33秒台を叩きだしてトップに浮上。久保田は2番手。以下ウィルドハイム、マックス・スミス・ヒリアードのサーティースTS9B、ライオン、ダンカンと続きます。

心配された久保田のマシンはフロントウイングが曲がったのみで、夜を徹して修復完了。土曜の予選を迎えました。天候もよく、絶好の条件が整った予選は、クリアラップがなかなか取れない中で各車続々とタイムアップ。久保田も34秒台に突入し、トップを争います。そしてこれから! という時にヒリアードのサーティースがタバコ・コーナーでクラッシュ赤旗。さらに再開後にウィルドハイムがコース全周にわたりオイルを撒いてしまいまたも中断。結局そこで予選も中止となってしまいました。久保田は最終的に4番手。しかしながら14年に自身が出したポールポジションのタイムを上回る1分34秒948を記録したうえ、トップのウィルドハイムより0.588しか遅れていないという、手応えのある予選になりました。

迎えた決勝レース。天気予報では雨が心配されていましたが、なんとか降らずにドライのままのスタートとなりました。今年のモナコは台数が多いため、このセリエE以降のクラスはすべてローリング式のスタートとなります。久保田の前にいるのはヒリアードのサーティース。後ろにはバリラのフェラーリが控えています。
綺麗なスタートを切った各車は、ポジションキープのままレースを進行。ウィルドハイムが巧みなブロックでホールを押さえ込み、久保田まで上位4台がダンゴ状態での走行となりました。

途中、セーフティーカーランとなり、レース再開! となったところで久保田の前を走るヒリアードがカジノ前コーナーで単独スピン。背後にいた久保田もあわやという瞬間でしたが「ふと左にスペースがあるのを見つけて、切り抜けた」という見事な回避でクリア。3番手に上がり、ホールとウィルドハイムを追いかけます。

ところがゴールまであと2周となった10周目のストレートで破損した小さなパーツがスロットルに挟まり、アクセルが開きっぱなしになるという不運なトラブルが発生。久保田の冷静な判断で大事故には至りませんでしたが、1コーナーでコースアウト、リタイアとなってしまいました。

しかしながらレース中に1分34秒400という自己最高タイムを記録した久保田。これは優勝したウィルドハイムのベストから、0.04秒しか遅れていないという素晴らしいものでした。
「結果はともかく、この状況で自己ベストを更新できたのは自分のドライビングも、マシンの方向も間違っていなかったんだというのが、確認できてとても満足です。次回のモナコに向けてまた新たな課題ができました!応援ありがとうございました」
パドックでル・マン王者のエマニュエル・ピロとカメラに収まる久保田。このほかピットに元F1ドライバーのピエルルイジ・マルティニが挨拶に訪れるなど、“モナコのカツ”はすっかり彼の地のレース界にも定着した様子でした。
順位 | No. | ドライバー | マシン | 周 | タイム |
---|---|---|---|---|---|
1 | 21 | ビョルン・ウィルドハイム | マーチ711 | 12 | 20:09.785 |
2 | 15 | スチュアート・ホール | マクラーレンM19A | 12 | 20:10.174 |
3 | 1 | マイケル・ライオン | サーティースTS9 | 12 | 20:25.679 |
4 | 7 | チャールズ・ニアバーグ | ブラバムBT33 | 12 | 20:41.145 |
5 | 27 | デイヴィッド・ショウ | マーチ721 | 12 | 20:41.734 |
6 | 19 | ホアキン・フォルチ | マクラーレンM19C | 12 | 20:43.177 |
レースのダイジェスト動画はこちらで視聴できます。ぜひ本場の臨場感を味わってください!