CARS Report

2000年代の隠れた傑作ルノー

2011.07.03

先週、プラネックスカーズに入庫したニューカマー、ルノー・ラグナII。

2000年(日本導入は2003年)にデビューした、知る人ぞ知るカルトな中型サルーン&ワゴン

なんですが、実はこれ、隠れた名車だって知ってました?



先週、このプラネックスカーズのHPを見ていてハッとしました。

なぜなら2003年式のルノー・ラグナII V6サルーン、2.3万キロ、ワンオーナーなどという個体が

しれっと入荷していたから。しかも79万円。

 

というのも、実はこのクルマにすっごく思い入れがあるからなのです。

 

冒頭に掲載したV6ワゴンの写真は、2004年にフランス縦断取材をした時に

本国のルノー広報からお借りしたPRカー(V6 ワゴン)のもの。

あのクルマにカメラマンの機材やら何やらを詰め込んで、映画『男と女』の舞台として

有名なノルマンディの港町ドーヴィルから、ル・マン、パリと

フランスの道を走り回ったのでありました。

 

これは、かの有名なル・マン・サルト・サーキットのバックストレート

ユノ・ディエールを走っている時の1枚。(本国ではこの位置に純正ナビが付くのです)

ちょうどル・マン・クラシックというヒストリックカーレースが始まる直前だったので、

シケインも設置されていたりと、“ほぼル・マン”なコースを体験できたのでした。

 

このフランス行で実感したのは、見事なまでのフラットライドを実現した

素晴らしい乗り心地と、居住性の高さ。そしてフラットなフランスの道では

必要十分以上(というか必要ない)といえるパワートレインのキャパシティでありました。

 

特に嬉しかったのは、1990年以降ドンドン固く、ドイツ車的になりつつあったフランス車のシートにあって

このラグナIIのレザーシートが、1980年代(60〜70年代ほどじゃないけど)のそれを彷彿とさせるような

もっちりと、豊かな掛け心地を再現していたこと! 

 

それだけでも十分なのに、これまたピッチングやロールを抑えながらも、しっとりと柔らかい

サスペンションの味付けが、スムーズなエンジン&オートマ(3リッターV6は、悪名高き? 

AL4ではなくアイシン製の5段というのもポイント)と実にうまくマッチしていて

車格以上の余裕のある走りを実現してたのです。それはもう、うっとりするほど。

 

結局1週間で3000kmほど走破したのですが、まったくの疲れ知らず。

日本に帰ってきてからも、積極的に取材したりして広報普及活動に務めたのですが

やはりルノーというブランド名が今ほど浸透していない日本では、皆ベンツビーエムにうつつを抜かし

まったくもって売れないカルトカーとなってしまったのでした。

(2005年で導入が中止され、マイチェンした後期型は導入すらなかった……)

 

でも、写真を見ていただいてもお分かりのとおり、

直線基調のスマートなデザインで、実に日本人好みな美しいスタイルをしているんです。

またこの頃から飛躍的に品質が向上したインテリアも使い勝手が良くて、実用性はバッチリ。

 

さらに5ドアサルーンゆえ、セダンボディであってもそんじょそこらのワゴンに

負けない積載能力をもつのも自慢。これがワゴンだったら、もうミニバン顔負けの積載力。

フランス的合理主義の素晴らしさを体感できます。

 

あと細かいところですが、手動ながらリアサイドと、リアウインドーにサンシェイドが付いているのも

高ポイント。ほら、スモーク貼るといやらしい(フランス車には似合わない)し、かといって

ガラスの面積が大きいので、夏場の直射日光は結構キツい。

 

そういう意味でも、このシェイドがあるだけで冷房の効率が断然違う!

 

なにはともあれ、先ほど書いたとおり、日本導入期間が短く、導入数自体も伸びなかっただけあって

中古車市場に流通すること自体が珍しいラグナII。それでこの程度っていうのは中々ない。

この時期のルノーは、ルーテシアもメガーヌもセニックもどれも傑作でしたから、

フランス車&ルノーの良さ、濃さを手軽に味わってみたいという方には超オススメ。

個人的には3er や Cクラスなんか買うより、100倍幸せになれると思うのだけれど……。