CARS Report

RICHARD MILLE SUZUKA Sound of ENGINE 2016

2016.11.25
Photo:加藤直人
さる11月19〜20日に鈴鹿サーキットを舞台に、日本最大のヒストリック・レースイベント『RICHARD MILLE SUZUKA Sound of ENGINE 2016』が開催されました。このイベントのメインカテゴリーであるグループCのデモレースでPLANEX CARS代表の久保田克昭はケント・アブラハムソン所有のジャガーXJR-8、XJR-9をドライブしたほか、F1のデモレースではロータス97TルノーをPLANEX CARSサポートドライバーの石浦宏明選手とともにドライブ。多くの観客の皆さんの前で本場仕込みのスピードを披露しました。


グッドウッドやモンテレー、ル・マン・クラシックなどと並ぶ本格的なヒストリック・レースイベントとして始まった鈴鹿サウンド・オブ・エンジン。2回目となった今回は、スイスの高級時計メーカーとして有名なRICHARD MILLEをメインスポンサーに迎え、その内容をさらにブラッシュアップして開催されました。
初日の土曜日こそ、時折雨の降る生憎の天候となってしまいましたが、日曜は快晴に恵まれ、2日間合わせて2万8000人もの入場者を数える大イベントとなりました。
そのメインカテゴリーである「Group C 世界を席巻したモンスターたち」には、ヨーロッパのグループCレーシングで久保田のサポートをしてくれているフィル・ストット・モータースポーツがメンテナンスをするケント・アブラハムソン所有のジャガーXJR-8、XJR-9のほか、最終戦ポール・リカールを終えたばかりのトミー・ドリーランのクレマー・ポルシェ962Cが来日。国内メーカーおよびエンスージァストの皆さんの所有するCカーとともに、グループC消滅以降国内では最大規模となるデモレースを開催しました。
久保田は当初、新たにコレクションに加わったフロム・エーR90CK日産でエントリーを予定していましたが、レストア作業が間に合わず断念。今回は展示のみとなってしまいましたが、また走行できる状況になったら、改めてご紹介したいと思っております。
そんな久保田のために、ケント(左)とフィルがXJRのシートを提供。日曜の予選、決勝とケントとシェアするかたちでドライブが実現することとなりました。
日本人として初めてXJR-8のステアリングを握ることとなった久保田は、初めてドライブしたにも関わらず、日曜の予選ではトミーの962Cに続く2番手タイムを叩き出しました。
Photo:加藤直人
久保田はXJR-8について「素晴らしいコンディション。普段レースで使用しているR90CKに比べ古いマシンなのに、ダウンフォースが大きく凄く運転しやすく仕上がっているのに驚きました」とインプレッション。長年にわたりWECのトップに君臨したXJRシリーズの強さの秘訣の一端を垣間見たようです。
一方トミーの962C(レイトンハウス・カラーが大人気!)は、本場ヒストリック・グループCの迫力を日本のファンの前で披露。雨模様の土曜でもレインタイヤを着用し、誰よりも速いラップを重ねてみせました。
「鈴鹿は最高。本当に素晴らしい。ぜひ来年も来たいね!」とはトミーの弁。
今回のグループCデモレースは、ヨーロッパでの PLANEX CARSの活動もサポートしてくれている藤原功三氏(右)が、久保田とともに各オーナーに声がけしてくれたことが大きな助けになりました。改めてここに感謝申しあげます。
さらに15台近いマシンが集まったF1デモレースにも久保田はロータス97Tで出場。世界に2台しか存在しない実働可能な97Tを往時さながらのスピードで走らせました。
また日曜には、PLANEX CARS サポートドライバーの石浦宏明選手も97Tをドライブ。昨年のスーパーフォーミュラ・チャンピオンが、かつてアイルトン・セナの乗ったF1をドライブするという、なかなか見ることのできないコラボレーションが実現しました。
「スピードを上げるとしっかりとダウンフォースが効くので、意外なほど運転しやすいマシンでした。ただ以前乗った88BなどDFV搭載のマシンに比べると、リヤが重いという印象を受けました。きっとエンジン単体の重さが影響しているのだと思います」とは石浦選手の97T評。今から30年以上前のマニュアルシフトのマシンでも、難なく乗りこなしてしまうのもトップレーサーの証。
またこのイベントには、エンスージァストとしても有名なリシャール・ミル氏も自身のコレクションである1975年式フェラーリ312T、1973年式ティレル006とともに来日。土、日の2日間にわたり、312Tを素晴らしいレーシングスピードでドライブされました。
このように、これまでの日本のヒストリックカー・イベントの規模をはるかに上回るスケールで開催された『RICHARD MILLE SUZUKA Sound of ENGINE 2016』。来年も開催されることが決定したとのことなので、ぜひこのHPをご覧の皆さんも遊びにいらしてみてはいかがでしょうか?