CARS Report

ル・マン・クラシック2016

2016.07.26
ル・マン24時間耐久レースから3週間が過ぎた7月9日〜10日にかけて、同じル・マン・サルト・サーキットにおいて“ル・マン・クラシック”が開催されました。
これは年代別に6つのクラスに分けられたマシンが、43分間のレースを24時間の中で3回行い、そのトータルの周回数で順位を決めるというヒストリック・スポーツカーを対象としたセミ耐久レースで、2002年から2年に一度のペースで行われている、世界最高峰のヒストリックカー・レースのひとつです。
このル・マン・クラシックに、今回から新たにグループCのカテゴリーが追加されたことを受け、PLANEX CARS代表の久保田克昭が日産R90CKで参戦してきました。


2014年にWECのル・マン24時間レースのサポートレースとして行われたヒストリック・グループCで日本人初のポールポジションを獲得し、決勝でも2位入賞を果たした経験をもつ久保田克昭。今回もハナシマ・レーシングの完全サポートのもと、準備万端で本番に臨みました。
その予選でのこと。終盤まで2番手にとどまっていた久保田がピットイン。ガス欠寸前なうえに、西日も眩しく、これでタイムアップならず……と思われたのですが、花島氏の指示でラストアタックを敢行。そこで久保田は気合の走りを見せ、3分50秒612というタイムを叩き出し、2位のポルシェ962に3秒差! をつけ逆転のポールポジションを獲得します。
ちなみに今回のル・マン・クラシックには、日本から国江仙嗣氏も童夢トムス85Cトヨタでエントリー。彼の地で日本製グループCカーの評価が高まっているだけに注目を集めていました。
そして迎えた土曜日の決勝レース。他のカテゴリーは時間を分けて3回の決勝が行われるのですが、グループCはマシンの特性も考慮して土曜昼の1回のみ。無論、トップからスタートするのは久保田のR90CK。総勢40台のマシンがローリングスタートする光景は圧巻です。
序盤はフランス兄弟のドライブするアルファ・ポルシェ962Cとバトルを繰り広げていた久保田。「確かにポルシェは速かったけど、もう一人のドライバーが遅いのを知っていたので焦らなかった」という久保田。数度のバトルのあとにトップを奪い返してからは徐々にそのギャップを開いていきます。
途中で決められているピットイン(今回は久保田一人で走行)の時には、2位以下に十分なリードを築いていた久保田。ピット作業も滞りなく行い、トップで終盤戦に臨みます。
そしてラストラップ。2位以下に30秒以上の大差をつけ独走状態に入った久保田は、日本人初のル・マン・クラシック制覇に向け、順調に走行を続けます。そして感動のゴールまであとわずかという時、「アルナージで久保田がストップ。トヨタに続いて、今度は日産に悲劇!」と場内アナウンスがまくし立てます。
リタイア原因はなんとガス欠。実は前日の予選の際、最終ラップ終了後、ショートカットしてピットに戻ってきたことを知らずに燃費を計算したため、100リッター入るタンクに95リッターしか燃料を入れていなかったことが、ガス欠の原因となったのです。
「やはりどこかで驕っていた部分があったんだと思います。すごく悔しいですが、リタイアした場所のオフィシャルが僕以上に悔しがってくれたりして、感動しました。2年後は絶対リベンジします!」
中嶋選手のトヨタTS050ハイブリッドに続く、最終ラップでの悲劇にさすがの観客たちも騒然としていましたが、この悔しさをバネに、このあとのシルバーストーン・クラシック、モンテレー・ヒストリック、そしてグッドウッド・リバイバルでは優勝を狙っていきます。皆さん応援宜しくお願いします。