いまプラネックスカーズに在庫している販売車輛の中で、個人的にオススメしたい1台があります。
2006年にシトロエン久々のプレステージサルーンとしてデビューするも
マイナーチェンジ時にガソリンエンジンがラインナップから外れたのを機に、
日本導入が中止されてしまった幻のリアル・シトロエン。
この個体は、3.0リッターのガソリンV6ユニットを積むワンオーナーのディーラー車で、
走行はわずか0.9万km。お値段は598万円となっています。
そもそも販売期間が短く、導入台数も少なかったC6の極上車を見つけるのは、至難の業。
おそらく今度、このようなビッグ・シトロエンが世の中に出る事はないでしょうから
トラクシオン・アヴァン〜DS~CX~XMと続いた、本来のシトロエンの良さを味わえる
最後のモデルといってもいいでしょう。
いかにも21世紀モダンといった風合いのC6のインテリアは、洒落たベージュ。
確かに汚れが目立ち易い色のため、気を遣う部分でもありますが、
だからこそ、サラリと乗るのがお洒落。
熟成されきったハイドラクティブサスペンションは、そのクルマ自体の質量をマッチして
実に上品な乗り心地を実現。走っていて「離陸する」感触を味わえる最後のシトロエンでもあります。
そんなC6で思い出すのが……
パリ郊外にあるシトロエンの所蔵施設、通称コンセルヴァトワール。
プロトタイプから、レーシングカー、はてはヘリコプターにいたるまで、歴代全てのシトロエンの作品を
収蔵した、一般非公開の悶絶ミュージアムです。
そこで対面したのが、1999年のジュネーブショーで発表された
シトロエン・リニャージュ・コンセプト。
「来るべき、未来のプレステッジサルーンのためのスタディ」
として公開されたこのプロトタイプこそ、C6のルーツなのです。
コンセプトモデルのスタイルが見事に踏襲されているのが、お分かりいただけるでしょう。
こちらは同施設に保存されていたモックアップ。
こうしてみると、C6がシトロエンのDNAを受け継いだ生粋のモデルであることが分かります。
「生き物」であるハイドロサスペンションをもつシトロエンの本来の姿を楽しめるのは
クルマが「旬」なうち。数年後、安く市場に流通したときには、その儚げなインテリアも
上質な乗り心地も、絶妙なボディ剛性も消えてしまっています。
豊かなクルマ人生を送りたいとお思いなら、一度ハイドロの時間を味わってみるのはいかがでしょうか?