CARS Report

Goodwood 80th Members’ Meeting 2023

2023.04.28
さる4月15日から16日にかけて、イギリス・グッドウッド・モーターサーキットを舞台に開催された『80thグッドウッド・メンバーズ・ミーティング』。毎年3〜4月に行われるヨーロッパのヒストリックカー・レース・シーズンの幕開けを飾るこのイベントはまた、ヒストリックだけに拘らない、さまざまな新機軸を提案する新しいスタイルのヒストリック・レース・イベントでもあります。


今回も天才レーシングカー・デザイナー、ゴードン・マレーが作り出したスーパーカーGMA T.50のデモランのほか、誕生から60年を迎えたポルシェ911記念した歴代レーシング911によるデモラン、今やネオ・ヒストリックとなった1990〜2000年代のGT1マシンのデモラン、そしてこのイベントのハイライトの1つである1980年代のツーリングカーによるガチンコレース「ゴードン・スパイス・トロフィー」など、数多くのプログラムが用意されていました。
そんな中、以前にもご報告したとおり、PLANEX CARS 代表の久保田克昭はロータス30S2で「ガーニー・トロフィー」、ロータス・コーティナで「ジム・クラーク・トロフィー」の2レースに招待を受けエントリーしました。
まず1960年から66年までのスポーツ・プロトタイプで競われる「ガーニー・トロフィー」は、オーナー・ドライバーとプロドライバーがコンビを組む45分のセミ耐久形式で開催。久保田のパートナーになったのは、2011〜2013年に全日本F3やスーパーフォーミュラに出場した経験ももつリチャード・ブラッドリー選手。PLANEX CARSサポートドライバーである山内英輝選手のF3時代のライバルの1人でもあります。
今回のレースを前に、久保田の女房役としてずっとロータス30のメンテナンスを担当してきたケヴィン・スミスの手によって30はバックボーンフレームを含めマシン全体を徹底的にリフレッシュ。
その甲斐あって久保田、ブラッドリー共に絶好調で、予選ではブラッドリーがトップのフォードGT40からわずか0.074秒差の1分20秒989を叩き出し、総合3番手、フロントローと、過去最高のポジションに就くことができました。ちなみにこのタイムはグッドウッドで記録されたロータス30のベストタイムになります。
迎えた決勝レース、見事なスタートを決めた久保田ですが、前を走るGT40に行く手を阻まれ3番手で1コーナーをクリア。その直後に後方のシェブロンB8にインを突かれてしまいますが、4番手をキープして様子を伺います。
このロータス30S2でレースに出場するようになって10年近くになりますが、やっとあるべき戦闘力を発揮できた今回のレース。約半年ぶりのドライブにも関わらず、久保田の走りも安定して速く、ライブ中継でも何回も紹介されていました。
この調子でいけば、9月のグッドウッド・リバイバルも好成績が期待できそうです!
しかしながらピットインのタイミングが遅れてしまったことで、ポジションダウン。さらに交代したブラッドリーがアウトラップの最終コーナーでスピン。マシン自体にダメージはなかったものの、後方にポジションを落としてしまいました。
ところが、そこでブラッドリーは奮起して、猛烈な追い上げを開始。最終的には1分21秒536と全体でも3番手のベストタイムを記録し、総合7位でフィニッシュしました。
さらに久保田は、今回の80MMの特別プログラムでもある、ロータス・コーティナ誕生60周年を記念したワンメイクレース「ジム・クラーク・トロフィー」にも出場。こちらもオーナーと有名ドライバーがタッグを組む45分のセミ耐久レースなのですが、出場する面々がトム・クリステンセン、アンドリュー・ジョーダン、ティフ・ニーデル、ニコラス・ミナシアン、エマニュエル・ピロ、ニール・ジャニ、ヨッヘン・マス、ダリオ・フランキッティなど、F1、ルマン、インディ、BTCCなどで活躍したスタードライバーばかり!
その中で久保田はブラバムの創始者サー・ジャック・ブラバムの息子で、F1、ルマン、IMSAなどで活躍したデイヴィッド・ブラバムとのコンビを結成。
しかし、コーティナでレースをするのは数年ぶりで「乗り方を忘れた:本人談」ということもあって調子を出しきれず、予選は29台中28位という結果に終わってしまいました。
迎えた決勝は、激しくも荒れた展開となりましたが、その中でもクールにドライブを続けた久保田/ブラバム組はコンスタントに周回を重ね、最終的に総合21で完走することができました。
その結果はもちろんですが、コーティナの60周年を記念するワンメイクレースに招待された(出場したいオーナー、マシンは山ほどいました!)というのは、これまでグッドウッドで走り続けてきた久保田の功績が認められた証であるともいえます。
また9月のリバイバル・ミーティングにも様々なカテゴリーで挑戦予定ですので、ぜひ応援をお願いします!