CARS Report

ストックカーのご紹介第2弾「1990年のレイトンハウス・マーチ90B」

2020.08.03
PLANEX CARSのストックカーご紹介第2弾は、1990年のレイトンハウス・マーチ90Bです。


F1の下位カテゴリーとしてF2に代わってヨーロッパでは1985年からスタートしたF3000選手権。その名の通り、排気量3000ccのフォーミュラカーを対象としたものだ。
日本では1987年からシリーズがスタート。ヨーロッパと違いシャシーのみならず、タイヤ(ブリヂストン、ダンロップ、横浜)、エンジン(コスワースDFV、ヤマハOX-77、ホンダRA387E&無限MF308)もマルチメイクスとなり、F1にも劣らない高レベルの争いが繰り広げられるようになった。
その中でも異彩を放ったのが、レイトンハウス・レーシング・チームだ。
1986年から関谷正徳とイヴァン・カペリを擁してF2での活動を開始していた彼らは、1987年にはマーチとジョイントしF1にも進出。1989年に正式にマーチ・エンジニアリングを買収するとオリジナルF3000マシンの開発を発表する。
こうして誕生したのがレイトンハウス・マーチ89Bである。デザインを手掛けたのは、前年までラルース・ローラF1チームのデザイナー(チーム・ロータスのデザイナー)だったラルフ・ベラミー。
マーチ製のF3000マシンは87B、88Bと不振が続いたが、ラルース・ローラLC88に雰囲気の似た89Bは当時のトレンドを抑えつつ、オーソドックスな手法にまとめられ、優勝こそなかったものの関谷が2位1回、3位3回と表彰台の常連となりランキング5位、岡田秀樹も3位1回でランキング9位につける活躍を見せた。
その勢いを受け、コンストラクター名をレイトンハウスに改称した彼らが1990年シーズン用に用意したのが、このレイトンハウス90Bである。基本的には89Bのアップデート版という内容ではあったが、ローラやレイナードに比べ大柄&ショートホイールベースだった89Bの全長を56mm短縮、全幅を5mm短縮、ホイールベースを49mm延長。全長4468mm、全幅1995mm、全高1003.3mm、ホイールベース2640mmとローラに近いディメンションとなっている。
また89Bではエンジン剥き出しだったボディワークを改善し、フルカウルとしたほか、フロントウイングを大型化するなどエアロダイナミクス面も大きく改良されていた。
サスペンションは前後ともプッシュロッド式のダブルウィッシュボーン。ギヤボックスはレイトンハウスB10/ヒューランドFGB 5速MTを装着した。ドライバーはエース関谷のパートナーに元F1ドライバーで1985年国際F3000チャンピオンのクリスチャン・ダナーを招聘。関谷とダナーは無限MF308とブリヂストンのパッケージ、岡田はモータースポーツディベロップメント(実質はレイトンハウス)名義でコスワースDFVとブリヂストンのパッケージで出場する、3カー体制となった。
1990年の全日本F3000はエントリー台数が前年の22台から31台に一気に増加。毎回多数の予選落ちが出る混戦となった。90Bは第2戦富士から実戦に投入。しかしながら熟成不足とトラブルに悩まされ、なかなか結果を残すことができなかった。そんな90Bが真価を発揮したのは第9戦富士。序盤でトップに立った関谷が24周でリタイアするまで独走体制を築いたほか、このレースでチームを離れることとなったダナーもシーズン唯一の入賞となる3位表彰台を獲得した。
PLANEX CARSが所有する90Bは岡田秀樹がシーズンを通じてドライブした個体で、この第9戦富士で6位に入りシリーズ・ランキング20位を獲得した履歴の持ち主。内外ともに当時の姿でレストアされレース・レディ・コンディションに仕上げられている。
現時点でF3000を対象としたヒストリックカー・レースは行われていませんが、台数の多さやエンジン、ギヤボックスの整備環境の充実を思うと、今後シリーズが誕生する可能性は大いにありうると思います。もちろんデモランであれば、鈴鹿サウンド・オブ・エンジンなどの日本国内でも走行できるイベントは存在します。いずれにしろ、欧米でシリーズが立ち上がると瞬く間に市場価格が高騰しますので、今狙い目のレーシングカーの1つであるといって過言ではないでしょう。また将来的にヒストリックF1にステップアップするためのトレーニング用としても最適な1台と言えると思います。
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