CARS Report

Concorso d'Eleganza Kyoto 2016

2016.12.07
10月28日から12月11日まで、京都 元離宮二条城にて開催されている『ARTISTIC CARS AT THE WORLD HERITAGE』のスペシャルイベントとして12月3日から6日まで行われたConcorso d'Eleganza Kyoto 2016(コンコルソ・デレガンツァ京都2016)にPLANEX CARSも参加。世界に1台しかないプロトタイプ、1965年型ロータス METIER IIを出展いたしました。


初めての開催となった今回のコンクール・デレガンスに出展されたのは、1928年のランチア・ラムダ・ティーポ221カッサーロから、1972年のアルピーヌA310まで国内外から集結した22台のヒストリックカーたち。
それらが通常は一般非公開とされている京都 元離宮二条城の二の丸御殿中庭、台所前庭、台所にずらりと並べられました。
我々PLANEX CARSが出展したロータス・メティエIIは、ロータス・エラン・プラス2のプロトタイプとして、ロータス・エランの生みの親でもあるロン・ヒックマンの指揮のもと開発されたもので、1965年12月にアレクサンドラ・パレスでコーリン・チャップマンや関係者にお披露目され、各種テストに供されました。
エラン・プラス2のための貴重なデータを収集したメティエIIは、その後ロータス・カーズの役員用カンパニーカーとなり、副社長のフレッド・ブッシェルや、ロン・ヒックマンらが使用した記録が残っています。
1972年に登録を抹消されたメティエIIは、ボロボロの状態のまま放置されていましたが、2000年にロータス・コレクターでありClassic Team Lotus のパトロンでもあるマルコム・リケッツが発掘。数年がかりでレストアを施し、現在は素晴らしいコンディションに保たれています。
12月6日には、欧米のクラシックカー専門ジャーナリストから構成された審査委員によるジャッジ、さらに一般来場者からの投票による『Concorso d'Eleganza Kyoto Award 2016』(コンコルソ・デレガンツァ 京都 アワード2016)が行われ、世界屈指のワンオフカー・コレクターとして有名なイタリアのコラード・ロプレスト氏の所有する1942年型アルファ・ロメオ 6C 2500 SS ベルトーネが、コンコルソ・デレガンツァ京都2016で最も華麗なクルマに贈られる Best of Showを受賞。
ベルトーネが手がけた流麗なボディをもつクーペは、2011年のヴィラ・デステ・コンコルソ・デレガンツァでも最優秀賞に輝いた個体。今回の受賞でその歴史に新たな栄誉が刻まれることとなりました。
そして12月3日〜6日の一般投票によるPeoples choice に選出されたのは、丸山和夫氏の所有する1966年式ビッザリーニA3Cコルサ。あの名エンジニア、ジオット・ビッザリーニが開発した1960年代のGTレーサーを代表する1台であります。
イタリアのオートモービルクラブ『Aci(アチ)』から送られる Best Italian car に選ばれたのは、このコンクールの主催者でもある木村英智氏の所有する1962年式マセラティ3500GT。
美しいシャンパンゴールドに彩られたこの個体は、1962年にアメリカ人歌手のエディ・フィッシャーが当時妻だった女優のエリザベス・テイラーにプレゼントしたクルマ、そのものだそうです。
第二次世帯大戦後に作られたクローズドボディのクルマから選ばれるBest post war closed に輝いたのは、星野茂氏の所有する1951年型マセラティA6Gヴィニャーレ。
ボディは、ヴィニャーレ時代のジョバンニ・ミケロッティがデザインしたもの。1950年のトリノ・ショーでデビューを果たしたA6G 2000のシャシーには、ピニンファリーナをはじめ、ザガートやフルアなど様々なカロッツェリアのデザインしたボディが存在しますが、ヴィニャーレ製ボディをもつのは、この個体1台だけです。
戦後のオープンボディ車を対象とした Best post war open を受賞したのは、マージー&ロバートE.ピーターセン・コレクション所有の1953年型ドライエ・ティープ178シャプロン。
1930年代から戦後にかけ、フランスを代表する高級車メーカーとして知られていたドライエ。このティープ178は、175のホイールベースを3150mmに延長したモデルで4.5リッターの直列6気筒OHVユニットを搭載。
この個体は、シトロエンのスペシャル・ボディなども手がけたフランスを代表するコーチビルダー、シャプロンが手がけたオープンボディをもつ1台で、2000年にアメリカで開催された『メドウ・ブルック・ホール・コンコース・デレガンス』でもベスト・オブ・ショーを受賞しています。
戦前に製作されたクローズドボディ車によるBest pre war closedで1位を獲得したのは、ワクイ・ミュージアム代表の涌井清春氏の所有する1937年式ロールスロイス 25/30HP スポーツ サルーン。
地名なしのナンバープレートを見ればお分かりのとおり、日本に長らく棲息する個体で、吉田茂首相の娘婿である麻生太賀吉が英国で購入。吉田茂本人のほか、麻生家によって長らく愛用された歴史ある1台でもあります。
戦前のオープンモデルを対象としたBest pre war openを受賞したのは、1928年型ランチア・ラムダ・ティーポ221カッサーロ。
世界初のモノコック・ボディ、4輪独立懸架サスペンションをもつ乗用車として、知られるランチア・ラムダ。このティーポ221は1928年から生産が始まったシリーズ8のショートホイールベース版で、同年のミッレミリアに出場したランチア・ワークスチームの1台ということです。
このほかにも、中々ほかのイベントでは見ることのできない貴重なモデルが集まった、今回のConcorso d'Eleganza Kyoto 2016。このような世界的規模の本格的なコンクール・エレガンスが、日本を舞台にこれからも続いていくことを切に願っております。
ちなみにヴィンテージカーによるコンクールは6日をもって終了しましたが、11日まで各国のスーパースポーツを集めた展示イベント『ARTISTIC CARS AT THE WORLD HERITAGE』は引き続き開催されています。お近くの方は、ぜひ一度会場に足を運ばれてはいかがでしょうか?