ランチア・テーマ8.32(1989年)










昔から“羊の皮を被った狼“と称される、スポーツカーをも上回る性能を持った高性能サルーンは数多く作られ。人気を博してきた。その中でも1980年代を代表するモデルと言えるのが、ランチア・テーマ8.32である。
そのトピックは、なんといってもノーズの中に収められた3リッターV8DOHCクアトロヴァルボーレ(4バルブ)エンジンにある。今でこそフェラーリ自らが4ドアのSUVであるプロサングエを開発、製造する世の中ではあるが、1980代当時、門外不出のフェラーリ・エンジンを放出、しかもサルーンに移植するなどということは、異例中の異例のことであった。
ベースとなったランチア・テーマは、1984年にガンマの後継として登場した中型サルーンである。開発コストを抑えるためにフィアットの声がけで、フィアット、ランチア、サーブ、アルファロメオの4社による『ティーポ4プロジェクト』で開発されたモデルで、プラットフォームやサスペンションなどはフィアット・クロマ、アルファロメオ164、サーブ9000と共通となっていた。
スクエアでエレガントなボディ・スタイルをデザインしたのは、イタルデザインのジョルジェット・ジウジアーロ。そのテーマの最上位モデル、超スペシャルスポーツモデルとして1988年に追加されたのが、テーマ8.32である。
先述のとおり、エンジンはフェラーリ308GTBクアトロヴァルボーレに搭載される3リッターV8をベースにしたものだが、オートバイメーカーのカジバの手でクランクシャフトを180度から90度に変更したうえ、最高出力も240PSから215PSへとドロップダウンするなど、実用性を意識したデチューンが施されていた。
またギヤボックスは5速MTのみ。サスペンション形式などに大きな変更はないものの、各部は専用にセットアップ、強化されているほか、205/55VR15サイズのグッドイヤー製の専用タイヤが奢られるなど、しっかりとパワーアップへの対策も施されている。
外装では、格子状のフロントグリル、ピンストライプ、120km/hを超えるとせりあがるリヤスポイラーなどが特徴。一方内装では、速度、回転計などが独立した専用デザインのメーターパネルのほか、トリノの家具メーカー、ポルトローナ・フラウによるレザー、パイプなどに使われるブライアを使用したウッドパネルなど、8.32だけのディテールが散りばめられている。
PLANEC CARSの所蔵するテーマ8.32は1989年式のシリーズ2。ヘッドランプの下に薄い入るウインカーレンズ、オート&スポーツと電子制御可変ダンパーの切り替えスイッチがセンターコンソールに備わるのが特徴。
当時の正規輸入元であるガレージ伊太利屋が販売した1台で、走行距離は7万3500kmほど。3万kmごとにタイミングベルトの交換が必要など、メンテナンスに手間がかかると言われていたモデルで、実際にトラブルも多かったことから現存する台数は少なくなってしまったが、この車両は2万2500km、4万5600km、7万2500kmの3万km以内にタイミングベルト交換が実施され、手厚く管理されている事がうかがえます。内外装、機関ともにオリジナルで状態は抜群。品川33ナンバー、当時のオーナーズマニュアルから日本での整備手帳まで、ドキュメントもしっかりと残されているという、素性の良さが伺える1台となっている。


■Lancia Thema 8.32 スペック
全長:4590mm
全幅:1750mm
全高:1435mm
ホイールベース:2660mm
車重:1410kg
エンジン: V型8気筒DOHC
排気量:2926cc
最高出力:215PS



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