LOTUS METIER II(1965 年)

LOTUSMETIERII___146.jpgMETIER IIは、1963年から6月から始まったエランの上級車種(つまりエリートの後継)M20プロジェクトの中で作られたプロトタイプの1台。フェラーリを意識して、高級なGTを作ることを悲願としていたコーリン・チャップマン肝いりのプロジェクトを任されたのは、エランの生みの親、故ロン・ヒックマンでありました。その試作過程に関しては、エラン乗りのバイブルであるAUTHENTIC LOTUS ELAN & PLUS2 1962-1974(ポール・ロビンショウ&クリストファー・ロス著 MRP刊)の中にも多くのスケッチやクレイモデルの写真とともに収められています。様々な困難を乗り越えて、METIER IIが完成したのは、1965年12月のこと。完成するや否や、METIER IIはアレクサンドラ・パレスでチャップマンや関係者にお披露目され、各種テストに供されます。



エンジンルームに収まるメーカーズプレートにはしっかりと手書きで、M20/1というシャシーナンバーと116E 6015というエンジンナンバーが刻まれています。

さて。このMETIER II 最大の特徴はエラン+2を見慣れた目には不格好なまでに映る、垂れ下がったノーズのデザインにあります。実際シャシー下を覗いてみるとご覧の通り、バックボーンフレームやエンジンに対して、かなりフロントのボディカウルが下がっているのがわかります。おそらくヒックマンの意思としては、高速時のフロントのリフトを嫌い、なるべくノーズ位置を下げたかったのだと思われます。

エンジンは1.6リッターのロータス・ツインカム。このクルマは、1972年に登録を抹消され、ボロボロの状態だったものを2000年にロータス・コレクターでありClassic Team Lotus のパトロンでもあるマルコム・リケッツが発掘。数年がかりでレストアを施したものだけあって素晴らしいコンディションに保たれています。ちなみにこのMETIER II 開発過程では、このロータスTCのほかにフォードの2リッターV4や、トライアンフの2リッター直6の搭載も検討されていたと言います。



コックピットは、のちの+2の雰囲気を漂わせつつも異なるデザインになっています。アルミ地のインパネや、大径のレザーステアリングなどは、エランとは違う、高級GTを意識しての意匠でしょう。ラジオもオリジナル(と思われる)年代物のPYE MAJORが付いています。また各操作スイッチが、タンブラー式になっているのも、後の生産型と異なる点です。



そしてリアビュー。こうして見ると、後ろのスタイルはほぼ生産型と変わっていないのがわかります。ちなみに丸型のテールランプはフィアット850からの流用品です。


このMETIER IIの書類上の最初のオーナーは、チェシャントのロータス・コンポーネンツ。ここで、各種テストに供されたあと、所有者がヘセルのロータス・カーズに代わり、フレッド・ブッシェル副社長以下、役員のカンパニーカーとして使われることになります。その後、1968年頃にデザイナーであるロン・ヒックマンが買い取り、しばらく自身のアシとして使っていたという履歴が残っています。





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