CARS Report

50周年を迎えたスポーツカーのアイコン

2011.06.29

© Jaguar Cars

 

今日はプラネックスカーズのショールームに鎮座するお宝のひとつ。

今年で誕生50周年を迎えたスポーツカーのアイコン、ジャガーEタイプのお話です。



© Jaguar Cars

 

ジャガーEタイプが発表されたのは、今から50年前のジュネーブ・ショーのこと。

その美しいスタイルは発表されるや否やショーの話題を独占し、翌日の新聞は

一般紙から大衆紙まですべてジャガーEタイプの話題で持ち切りだったというエピソードが残っています。

 

なぜそこまでEタイプが支持されたのか?

 

それはEタイプが、1950年代のル・マン24時間などのスポーツカーレースを席巻した

レーシングカー、ジャガーDタイプの末裔ともいえる中身を持っていたからです。

 

1961年当時としては先進的なスタイリングは、Dタイプも手がけたマルコム・セイヤーによるもの。

長いノーズに搭載された直列6気筒DOHC XKユニットも、

いわばレーシングマシン直系ともいえるスペックをもつエンジンだったのです。

 

そんなEタイプをこぞって買い求めたのは、世界中のセレブリティたちでした。

世界最初のEタイプのオーナーは、女優ブリジッド・バルドーの夫であり

映画監督だったジャック・シャリアー。

その他に、フランク・シナトラ、ディーン・マーティン、スティーブ・マックイーンなど

超有名人たちがその顧客リストに名を連ねたのです。

 

日本でも三船敏郎、フランク永井など、多くのスターがEタイプを愛しました。

 

もちろん、今でもEタイプを愛しているセレブリティは多くいます。

現在F1GPで圧倒的な強さを誇るレッドブル・レーシングのデザイナーである

エイドリアン・ニューイもそのひとり。レース用に仕立てられたライトウェイト仕様で

毎年英国で開かれるグッドウッド・リバイバルなどのヒストリックカーレースに参戦しています。

 

現在プラネックスカーズに展示されているEタイプ・シリーズ1 4.2クーペは

英国のクラシック・ジャガーのスペシャリストとして有名なCMC(クラシック・モーター・カーズ)

徹底的にレストアした1台で、ギアボックスをゲトラク製に換装するなど、

Eタイプが生まれ持ったネガの部分を徹底的にリファインした、いわば究極のEタイプといえるもの。

 

貴重な右ハンドル(北米輸出が多かったため左ハンドル仕様が多い)に加え

見事にレストアされたインテリア。クーラーも内蔵されています。

 

そんなEタイプに大きな変化が訪れるのは1971年。

市場からのモアパワーの声に答え、5.3リッターDOHC V12ユニットを搭載した

シリーズ3がデビューするのです。

 

そのシリーズ3に積まれたV12エンジンの元となったのが、この1966年に1台だけ製作された

幻のミッドシップ・レーサー、ジャガーXJ13に積まれたエンジンでした。

 

その設計を手がけたのが、1960年代にコヴェントリー・クライマックスで

優秀なF1エンジンを生み出したウォルター・ハッサンと、ハリー・マンディ。

また、このV12プロジェクトに携わったエンジニアのひとりに、

のちにロータス・ヨーロッパ・ツインカムを手がけ、一昨年までロータス・カーズのCEOを

務めていた、マイケル・キンバリーの姿もありました。

 

プラネックスカーズにある1973年型のシリーズ3ロードスターは、

英国で新車で購入した初代オーナーが、そのまま日本に持ち帰り、

ずっとディーラーでメンテナンスをし続けたという非常にオリジナリティの高い1台。

プリムローズ・イエローと呼ばれる上品な黄色も当時の純正色です。

 

インテリアも当時のまま。そのほとんどが、左ハンドル&オートマという仕様で

生産されたシリーズ3にあって、本国仕様の右ハンドル&MTという組み合わせは非常にレア。

トルクフルでパワフルなV12ユニットを最大限使って走るにはMTが一番。

キング・オブ・GTの所以をステアリングから感じ取ることができるはずです。

また、このクルマにはインテリアの雰囲気を壊すことなく

当時日本で装着されたクーラーも付いています。

 

このEタイプ・シリーズ3は、カー・マガジン378号(ネコ・パブリッシング刊)をはじめとした

各自動車雑誌でも取り上げられた有名な1台。日本上陸時から掲げられた“品川33”ナンバーなど

オリジナリティの高さでは、日本1、2を争うシリーズ3といえます。

 

ぜひプラネックスカーズ・ショールームでご確認を!