CARS Report

久保田克昭アメリカGPに引き続き、メキシコGPでも2連勝!

2017.11.09
Photo:Masters Historic Racing
さる10月27日から29日にかけて、メキシコ・シティのアウトドローモ・エルマノス・ロドリゲスで開催されたF1メキシコGPのサポートレース、マスターズUSAヒストリック・フォーミュラ・ワンにおいて、Classic Team Lotusからエントリーした久保田克昭が土曜のレース1、日曜のレース2で2連勝!! 昨年のメキシコに続く完全優勝という快挙を成し遂げました!!


2017 Masters USA Formula One Rd.6
F1 Mexican Grand Prix Race1
2017年10月28日 ドライ 1周4304m×10周
Photo:Masters Historic Racing
雨のオースティンで見事な優勝を飾った久保田克昭とロータス78は、レースから1週間後にグランプリ・サーカスの一行とともに、メキシコ・シティへと乗り込みました。
会場は、1965年にホンダRA272が日本車として初めてF1GPで優勝した場所としても知られる、アウトドローモ・エルマノス・サーキット。標高2300mという高地にあるため、人間はもちろんマシンにも厳しいサーキットとして知られています。
今回のエントリーは12台。最大のライバルは同じクラシック・チーム・ロータスのチームメイトでもあるロータス91のグレッグ・ソーントンです。
「78はアルミモノコックで、フロントタイヤが小さく、リヤタイヤが大きい昔ながらのスタイル。一方グレッグの91はカーボンモノコックなのでシャシーも硬くしっかりしていて、フロントのダウンフォースも高い。また前後とも太いタイヤを履いていてブレーキディスクも大きいので、ブレーキングでもコーナーでも安定して速い。だからマシン的にグレッグの91が有利な状況は変わりません。もしかしたらモスポートの時のように、ブッちぎられるかもしれない」
Photo:Masters Historic Racing
と不安を覗かせた久保田ですが、初日のプラクティスでは1分40秒862を出してトップタイム。続く予選でも1分39秒043にタイムをあげ、見事ポールポジションを獲得しました。
「日本で石浦宏明選手とシミュレーターでトレーニングした甲斐もあって、自分としては良い走りをしたのにプラクティスでは去年のベストから2秒も遅かった。去年に比べてコースコンディションがすごく悪いんです。そこで場内放送での映像を解析したり、前日に歩いて確認したコース状況を照らし合わせ、ライン取りを見直しました。」
実はその背景には、場内放送を撮影していた同行の夏織夫人の動画が役立った(メキシコではデータロガー、車載カメラの搭載が禁止されている)といいます。さらにハナシマレーシングの花島広樹代表が、専用のアプリを持ち込み空気が23%も薄いことを突き止め、それに合わせてDFVのフューエルインジェクションを調整し高地用セッティングを施すなど、チーム一丸となった努力があったのです。そのうえで、経験に基づいた久保田の冷静な作戦もありました。
「このコースは高地で空気が薄いのでスリップが効かない分、絶対ポールポジションを獲る必要がある。最初に出た時にタイヤの内圧が上がらないのを見て、路面状況が良くなっていたのが分かっていたので、最後の最後でアタックすることに決めていました」
Photo:Masters Historic Racing
迎えた土曜のレース1決勝。スタートからトップを走る久保田ですが、その背後1秒以内にグレッグの91がピタリとつけ、何度もアタックをかけるという白熱したレース展開となります。
Photo:Masters Historic Racing
しかも5周目には久保田をパス。すぐさま久保田も抜き返すという、熱いバトルも展開されますが「前半はグレッグ、後半は僕の方が速いのはわかっていた」という久保田は、上手いライン取りでグレッグにつけいる隙を与えず、トップを守り続けます。
Photo:Masters Historic Racing
そして最終的にはグレッグに3.6秒の差をつけトップチェッカー。1分40秒651というファステストラップも記録する完全勝利を成し遂げました。
Photo:Masters Historic Racing
これには、モントリオールに引き続き、プレゼンターとして来場していた元F1レーサーのロベルト・モレノさんも大喜び! ゴール後にはすぐさま久保田に駆け寄り、お祝いの言葉をかけてくれました。
これでオースティンにつづき、F1の会場に日の丸を掲げ、君が代を流すことに成功した久保田。続く日曜のレース2にも「気合しかない!」と心を引き締めて望みます。
2017 Masters USA Formula One Rd.6 Mexico City
Race1 Result
順位 No. ドライバー マシン クラス タイム
1位 5 久保田克昭 ロータス78 Head 10 16:55.260
2位 12 G.ソーントン ロータス91 Head 10 16:58.895
3位 6 J.ヘイガン ティレル011 Head 10 17:11.053
4位 52 R.メイドン LEC CRP1 Fittipaldi 10 17:16.320
5位 26 J.コンステーブル ローラT370 Fittipaldi 10 17:18.636
6位 37 C.ダンサンブル マクラーレンM26 Fittipaldi 10 17:36.564
2017 Masters USA Formula One Rd.6
F1 Mexican Grand Prix Race2
2017年10月29日 ドライ 1周4304m×10周
Photo:Masters Historic Racing
日曜のレース2も見事なスタートを決めて飛び出したのは久保田。それを1秒以内でグレッグが追うという、前日と同じレース展開となります。ただ、前日と違うのは、1コーナーで鋭いツッコミをみせ、何度も久保田を脅かしたグレッグが、前半部分でのタイムを稼ぐためにラインを変えて走るようになったこと。
これで両車のタイム自体は接近しますが、後方からのプレッシャー自体は少なくなり、久保田には有利な展開となりました。
Photo:Masters Historic Racing
「レース1の結果を見て、CTLのクリスとケヴィンがリヤの車高を上げてアンダーを消し、ダウンフォースを減らすなどセッティングを変えてくれて、すごく走りやすくなったんです。後半のスタジアムセクションは、完全にコントロールできましたね」
というとおり、スムーズな走りに徹した久保田は、一度もトップを脅かされることすらなく、トップチェッカー。この日もファステストラップを記録し、メキシコの週末を完全制覇するという快挙を成し遂げたのです!
Photo:Masters Historic Racing
表彰式で配られたメキシカンハットをかぶり、喜ぶ久保田。この画像はすぐさま世界中に配信されました。
「ここメキシコはホンダが初優勝した日本人にとって大事なサーキットですから、また君が代を聞けてよかったです」
この勝利で、モントリオール、オースティン、メキシコ・シティと、今年行われたF1GPのサポートレースですべて勝利を収めることができた久保田とロータス78。体力的にきつい高地でのレースで勝てたのは、今年参戦してきた全日本F3と日々のトレーニングの成果だったと言います。
そういう意味で、久保田のレース活動を支えてくださった多くの皆さん、そして応援してくださった皆さんの力で掴み取った勝利ということもできると思います。本当に応援ありがとうございました!
次なるターゲットは、11月18〜19日に鈴鹿サーキットで開催される『RICHARD MILLE SUZUKA Sound of ENGINE 2017』。日本初開催となるマスターズ・ヒストリック・フォーミュラ・ワンのデモレースに、愛機ロータス88Bとともに参戦します。
無論会場には、CTLマネージャーのクリス・ディネッジ(左)と、久保田の専属メカを務めるケヴィン・スミス(右)も来日。そのほか、グレッグ・ソーントンがロータス92、アンドリュー・ビューモントがロータス76で参戦予定です。
「今回は本当に良いメンバーが来てくれるので、彼らに鈴鹿の良さを知ってもらえるよう、ホストとしての役目を果たしたいと思っています。そしてお客さんに喜んでもらえるレースをして、長く続いていくイベントにしたいですね!」
と、鈴鹿への抱負を語る久保田。皆さん是非本場のF1サウンドを体感しに鈴鹿へお越しください!
詳しくは公式HPまで。
2017 Masters USA Formula One Rd.6 Mexico City
Race2 Result
順位 No. ドライバー マシン クラス タイム
1位 5 久保田克昭 ロータス78 Head 10 16:39.744
2位 12 G.ソーントン ロータス91 Head 10 16:43.218
3位 26 J.コンステーブル ローラT370 Fittipaldi 10 17:15.319
4位 25 M.ラウバー ヒルGH1 Fittipaldi 10 17:22.371
5位 18 C.ファレル マーチ821 Head 10 17:24.680
6位 11 A.ビューモント ロータス81 Head 10 17:36.564