CARS Report

グッドウッドで久保田親子が大活躍!!

2017.09.25
さる9月8日から10日にかけて、英国グッドウッド・サーキットを舞台に開催された、世界一格式の高いヒストリックカー・レース『グッドウッド・リバイバル・ミーティング2017』に、PLANEX CARS代表の久保田克昭が、愛娘の麻莉ちゃんとともに参戦。スポーツカーレースの最高峰であるウィットスン・トロフィーと、オースティンJ40ペダルカーによるワンメイクレース、セットリントン・カップで、それぞれ大活躍してきました!


グッドウッド・リバイバルは、1966年に閉鎖された時の状態まま残されているグッドウッド・サーキットを舞台に、戦前から1966年までのフォーミュラカー、スポーツカー、モーターサイクルなどを対象に開かれるヒストリックカー・レースで、スタッフ、エントラントはもちろん、観客までが当時のコスチュームに身を包んで参加することで知られているイベントです。
3日間にわたり開催される様々なカテゴリーの中で、もっとも可愛らしく、もっとも盛り上がるのが、1949〜71年に作られたペダルカー、オースティンJ40に子供達が乗って競うワンメイクレース、セットリントン・カップです。
2012年からエキシビションとして始まったこのレースですが、年を重ねる毎に規模を拡大し、今年は50台ものエントリーを数えるようになりました。
無論、誰でも出られる……というわけではなく、出場できるのは、他のレースに出場しているマシンのオーナー、ドライバーなどVIPのご子息、ご令嬢のみ。
そんな狭き門に、久保田の愛娘である麻莉ちゃんが、日本人として初めてエントリーを果たしました。
この日のために、親子揃って駒沢公園でのトレーニングを繰り替えしてきたという久保田親子。
マシンはなんと久保田のF1マシンのメンテナンスを担当する、英国クラシック・チーム・ロータスのファクトリーに送られ、ケヴィン・スミス以下CTLのメカニックが徹底的に転がり抵抗の低減に務めた! というワークス・マシンになっています。
迎えた土曜のレース1では、雰囲気に飲まれてしまったのか、ル・マン式のスタートダッシュに遅れてしまった麻莉選手。
しかしながら日頃のトレーニングの成果を生かし、必死に前を追った結果、2分13秒460のタイムで総合36位完走を果たしました。
続く日曜の第2レースでは、ル・マン式スタートこそうまく決まったものの、マシンが後ろの溝にはハマってしまうという不運。ここで押してしまうとペナルティになってしまうため、最後尾からの追い上げとなりました。
途中、なんどか不安そうな表情を見せた麻莉選手ですが、最後の最後で前を走っていたアデル・カノン選手をパス。大歓声の中、総合46位でゴールしています。
ゴール後に「マリ、よかったよ!」と激励にやってきたのはCTLのボス、クライブ・チャップマン。でも悔しかったのか、麻莉ちゃんは涙目に。横でそんな麻莉ちゃんをなぐさめているのは、昨年の1.5リッターF1で競われるグローヴァー・トロフィーで優勝したニック・フェネルの奥様である佐知子さん。
そんな一途に頑張る姿が目にとまったのか、英国3大紙のひとつ『ザ・テレグラフ』電子版の一面に、久保田親子の写真が紹介されるという快挙も!
そういう意味でも、いい記念になったレースでした。
また、オースティンJ40ペダルカー(1959年)はプラネックスカーズ目黒本店八雲ショールームにて展示中。
ぜひ一度ご覧になってください。
詳しいお問い合わせはプラネックスカーズまで。
一方、久保田は土曜のメインレースとして行われる、1966年までの大排気量プロトタイプ・レーシングカーの“ウィットスン・トロフィー”に初参戦。
ドライブしたのは、CTLが所有するロータス30S2。シャシーナンバー30S2/9をもつこの個体は、1965年のシルバーストーン・マルティニ・トロフィーでトレヴァー・テイラーがドライブした経歴をもつ、バムフォードJCBチームのマシンです。
ウィットスン・トロフィー初参戦どころか、この30に乗るのも金曜日の予選が初めて! しかも開始直前に降った大雨のため路面はヘビーウエットという最悪の状態でしたが、冷静に少しずつクルマとの対話を深めていった久保田は、5周目に1分58秒042を記録して、12番グリッドを獲得。
このタイムはロータス30勢の中でぶっちぎりのトップタイムだったばかりか、並み居るフォードGT40、ローラT70勢にも肉薄する素晴らしいタイムとなりました。
ウィトスン・トロフィーは土曜のメインレースとして夕方に開催されるのですが、なんとここに来てまたも大雨。アッセンブリーエリアにも緊張が走ります。CTLのマネージャー、クリスもとにかく安全にと久保田にアドバイスを送ります。
フォーメーションラップが始まった段階では、このような大雨。暴れる4.7リッター・フォードV8を御しながらの慎重かつ大胆なドライブが要求される難しいレースです。
レースがスタートすると、少し空が明るくなってきたのですが、久保田のロータス30 はグリッドでギアが入らないトラブルに! なんどかのトライでようやく1速に入れることができたのですが、大きく出遅れる結果となりました。
その後も、慣れぬマシンでスピンを喫した久保田。その原因を「ZF 5D5 20ギアボックスが扱いにくくて、うまくシフトダウンできないんです。それで2度ほどスピンしてしまいました」と語る久保田。
しかしながら、ZFのクセを克服した中盤以降にペースアップし、次々と先行車をパス。一時期は最後尾の29位まで落ちたものの、総合16位でのフィニッシュとなりました。
「あの難しいコンディションの中で素晴らしいレースだった!」
というのは、CTLのボス、クライブ・チャップマン。
「クライブごめん、スピンしてちょっとぶつけてしまった」
と久保田が謝ると、フロントカウルを見ながら
「カツ大丈夫だ、あとで黄色いペンキ塗っておくから」
と冗談が出るなごやかな雰囲気で、無事レースは終了しました。
「ロータス30はジム・クラークしか乗りこなせなかった失敗作だと言われていますが、今回ドライブして思ったのは、クルマ自体のバランスも悪くなくて思いのほか乗りやすい、良いマシンだということでした。唯一、ギアボックスだけが扱いづらかったですね。でもギアやエンジンを調整して煮詰めていけば、十分トップを争える戦闘力があると思いますよ」
と、その印象を語る久保田。
場内放送で「日本から来たカツは、本当にヒストリック・レーシングを愛してる!」とアナウンスされたように、このグッドウッド・リバイバルの世界にもすっかり馴染み、久保田自身もその面白さにハマっているようです。
続く海外レースは、いよいよアメリカGP、メキシコGPのサポートレースとして行われるマスターズF1の2連戦。昨年に続き、いい成績をおさめられるよう頑張りますので、応援宜しくお願いします!!